2017.05.13更新

宗像市葉山クリニックの撫中です。今、将棋界では、弱冠14歳の藤井四段のデビュー以来の連勝が17に伸びたことでもちきりである。この将棋は終戦時、存続の危機に瀕したことは知る人ぞ知る話である。終戦直後、日本を統治していたGHQが、日本人の思想をコントロールしようとする意味合いから、「将棋は相手から奪った駒を味方として使うことができるが、これは捕虜虐待の思想に繋がる野蛮なゲームである」として禁止しようとした。ここで、GHQと相対したのが、「新手一生」をモットーとした升田幸三棋士である。升田は「将棋は人材を有効に活用する合理的なゲームである。チェスは取った駒を殺すが、これこそ捕虜の虐待ではないか。キングは危なくなるとクイーンを盾にしてまで逃げるが、これは貴殿の民主主義やレディーファーストの思想に反するではないか」と反論し、GHQを納得させてしまった。その結果、前述の藤井四段の連勝につながる将棋の存続があるのである。人は体制に対し、弱腰のことが多い。升田は、将棋界のためというだけでなく、敗戦後の落胆した日本人の「気骨」を示し、伝統を守った人として、尊敬の対象となる。その証拠に、現役棋士に「誰と指したいか?」と質問すると、「升田幸三」と答える棋士が一番多いそうだ。

投稿者: 葉山クリニック

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