本能と学習
2025.03.19更新
宗像市葉山クリニックの撫中です。本能とは、実社会でもしばしば使用される言葉であります。しかし、その定義は意外に難解で、医学・生理分野では、使用が限定されています。それは、実社会での使用に多様性がありすぎるためのようです。代表的な語釈は、以下の通りです。
1.生まれたとき、あるいは発達の特定の段階で存在する性質。2.学習なしでも存在する性質。おそらくもっとも一般的な用法。3.遺伝的である性質。高い確率で世代を超えてみられる性質。
一般的に「食欲、性欲、睡眠欲、集団欲、帰巣本能」などよく耳にします。ヒトは本能を発生する脳の上位にそれを制御する大脳が発達した種です。さらに学習という行為で制御のルールを獲得します。しかし、容易には強い本能を制御できず、しばしば本能(情動)に負けて行動するものです。それがルールを破るものであれば、犯罪となることもしばしばです。このルールの線もかなり微妙で、その行為が成就すれば、了承されることとなります。典型例は「恋愛」です。一方的であれば、ストーカー、了承されれば、交際、となります。下等動物に恋があるかどうか不明ですが、ヒトは本能と学習(理性)の間で喜び、苦悩など様々な感情に翻弄され、時を刻んでいます。いろんな人生模様が起こります。「ただ会いたい、ただ触れていたい」と感じる気持ちは純粋でもルールある社会ではすべて許されることではありません。ここにこそ人それぞれの多様で実に面白い人生の源泉があるのでしょうね。
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