宗像市葉山クリニックの撫中です。最近はネット配信で過去の映画を見ることができます。2週間前に「初恋」という日本映画を見ました。上映当時もDVDで見た記憶があります。「3億円事件」を題材にした映画で、タイトルが連想させる恋愛ものではありません。しかし、ラストシーンでヒロインが相手役が残した文庫本の中の日記を目にするとき、初めて「初恋」のタイトルが浮かび上がるというものです。その日記には
今日 僕は少女に出会った
少女はまっすぐな眼をして
まっすぐに僕に言った
「大人になんかなりたくない」と
僕は恋をした
たぶん一生に一度の恋を
だけどそれは告げることはないだろう
僕には彼女の眼を曇らせることしかできないのだから
相手役の男性が当時の社会に矛盾を感じ、悪を告発しようとした行動が「3億円事件」に発展するのですが、時代背景からか気持ちを相手に伝えないままヒロインの前から姿を消す。是非はともかく今の時代にないような恋愛だと思いました。自己を抑圧し、他者を大切に思う。そんな風に感じました。数回上記の日記のシーンをみましたが、やさしさが滲み出ていてお気に入りのシーンの一つです。