2025.01.22更新

宗像市葉山クリニックの撫中です。日本語以外の言語から、日本語に変換するとき、直訳するとある程度の意味は伝達できるものの、日本人の感性や情緒は伝わらないことがあります。日本語から他の言語への変換も同様だと思いますが。有名な逸話で、夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したというのがあります。学生の直訳に対し、日本人はそんな言い方はしない、これくらいでいい、とたしなめたというものです。また、小説家の二葉亭四迷はロシア文学「片恋」を翻訳する時、「ваша(=yours)」を「死んでもいいわ」と訳しました。yours、つまり「あなたのものよ」という言葉を「死んでもいいわ」と訳したのが、漱石の「月が綺麗ですね」と共通することで、セットとして知られています。しかし、時代が変わり、奥ゆかしいものも減り、逆に直接的に伝えないと伝わらない世の中になってきたのも事実です。日常会話はそれでいいと思いますが、文学では、やはり日本語の感性豊かな行間の風景を彷彿させる表現は残っていってほしいものです。

 

投稿者: 葉山クリニック

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